ミルクファームHARU 稲村正雄
庄原の酪農家の生乳を原料にした
味のバリエーションも豊富な手作りアイスを
提供する知る人ぞ知るお店
中国自動車道庄原インターチェンジから数分のところにある、庄原市が農畜産業活性化の拠点として建設した総合交流施設「食彩館しょうばらゆめさくら」。その施設内にあるのが広島県酪農協同組合(ひろらく)のアンテナショップ「ミルクファームHARU」。ソフトクリームやジェラート、最中アイス、牛乳やチーズなど広島県産の乳製品を扱っています。
一番人気の商品は、ギフトにも喜ばれる「七塚原高原 手造りアイス」。定番のバニラや抹茶、庄原ならではの『一寸そば味』などユニークな味も含めて、常時20種類を超えるそう。
皆さんは「カルピジャーニ」をご存じですか?ソフトクリームを作る機械のメーカーの名前なのですが、知る人ぞ知るこの機械のことを「ソフトクリームマシーン界のフェラーリ」と呼ぶ人もいるくらいで、ソフトクリームを提供する事業者さんの中では憧れの存在なのです。日本でソフトクリームを提供しているお店の中でも、この機種を入れているのはごくわずかとか。もちろん機械があれば良ければ美味しいものができるということではありません。原料の生乳の品質、鮮度も重要です。
もう一つ、ご自宅で庄原生まれの生乳の味を楽しんでもらえるものがありました。こちら「七塚バター」です。
庄原にある七塚原高原は、広島県の酪農、畜産の振興・発展の礎を築いた場所です。1900(明治33)年、日本で初めての「国立種牛牧場」が畜産試験研究機関として設立されました(現在の「広島県立総合技術研究所畜産技術センター」)。農耕牛や肉用牛の繁殖等が主だったようですが、乳牛に関する試験も行われました。もともと稲作・畑作が盛んだったこの地に牧場ができたことで、酪農を営む農家が増えたそうです。当時は乳も手搾りする小規模な酪農。一軒で2~3頭飼っていれば充分でした。昭和の半ば頃まで家の中で牛を飼っているという農家も珍しくなかったのだとか。
そんな時代の中で、庄原では早くからバターやチーズが試験的に製造されていました。この「七塚バター」は庄原の生乳を100%使用して、昭和初期の味を再現したものだそうです。決して、強いインパクトはないのだけれど、ほんのり生乳の風味を感じる、そんな優しい味のバターです。
生乳は牛乳やバター、チーズ、アイスクリームやジェラートなど乳製品の原料になるもので、搾ったままの状態の牛の乳を指します。搾りたての生乳はほんのり温かく、そこには良い菌も悪い菌も含まれています。そこで少なくとも悪い菌は熱処理で死滅させなければなりません。このことは、法令で決められています。
牛乳、アイスクリームやジェラート、バターなど、たくさんの乳製品を作ろうと思ったら、それだけたくさんの生乳が必要です。1軒や2軒の酪農家だけではとてもまかないきれません。だから複数の酪農家の生乳を集めることになります。そのとき集められる生乳はやっぱり鮮度が良いものがいいですよね。遠くの県外から遥々運ばれてくる生乳だと、搾ってからかなりの時間が経過しています。たとえ輸送中の管理がしっかりできていても、違った環境で育った牛の乳が混ざってしまうより、県内など地元の酪農家の牛のお乳でまかなえるなら、その方が安心だと思いませんか?
広島県酪農協同組合(ひろらく)は、広島県内の酪農家の生乳を集めて、適切に、安全に処理をして、たくさんの広島県産の乳製品をつくり出す人たちを支える役割を担っています。中でも、ミルクファームHARUで扱っている乳製品は、庄原の酪農家が育てた牛の生乳が原料になっています。